部下のやる気

あなたの部下は、自分の生活レベルに満足していると思いますか?
社会人になって数年も経つと、大事な企画を任されるようになったり、重要なポストについたりして、ある程度金銭的な余裕も生まれます。学生の頃は安い居酒屋に行くのも費用を気にしていたことがあるはずですが、いつの間にか「たまにはちゃんとしたディナーに行きたいな」と考えはじめるでしょう。
毎月、英会話やヘアサロンに通ったりするための費用をねん出するのもいいかもしれませんね。収入が増えれば、自分の生活レベルを上げてみたくなるのが人間です。
そして、その生活に慣れれば当然、失いたくないと考えるでしょう。
というわけで、少しずつでも収入や生活レベルが上がってきた経験のある人は、更に多くのものを手に入れるためよりも、手に入った生活を失わないために、より努力する必要にせまられることになります。

今回は、保守的なやる気についてお話してみたいと思います。

◆生活レベルは下げたくない!保守的な思考から生まれる部下のやる気

1)保守的な生き物
人間に限らず、多くの動物は保守的です。生活圏で十分な食事と縄張りがあれば、知らない場所へ冒険に出かけてリスクを冒す必要はありません。日本の若者があまりベンチャー精神を持っていないがことが度々話題になっていますが、幸いなことに衣食住足りていない貧困層がさほど多くない日本では無理もないことでしょう。躍起になって高収入を求めなくても最低限の暮らしが出来るだけの仕事が得られるので、転職したり、副業を始めるといった必要性が特に感じられないのです。むしろ新しいチャレンジに失敗することで今までの生活が失われてしまうのであれば、何もしない方がマシ……と考えている人こそ多数派なのかもしれません。しかし、そんな彼らでも「生活を維持したい」と思うからこそ就職し、毎日出勤しているのです。

2)生活を維持するためのやる気
月一回ジムに行く、美味しいものを食べに行く。
「生活レベルが上がった」経験を一度でもしたことがある人なら、「ジムに行けなかった」「ヘアサロンに行けなかった」前の生活に自分から戻りたくはないでしょう。今の自分の生活に完璧に満足しているわけではないとしても、この生活を維持していこうと努力せざるを得ません。最低限今の収入を下回らないためにはどうすればよいのか、を自然に考えて行動するようになります。

3)ワンランク上の生活をイメージさせる
物欲と向上心は比例する場合が多いです。
出口の見えないデフレ時代、「若者の●●離れ」と言って消費しない若者たちを問題視する論調も増えています。バブルが崩壊してからの低賃金や就職難で、すっかり若者の物欲が消えてしまったのではないかというわけですが、お金がないのでは消費を楽しむこともできません。アレもコレももっと欲しいという思いがなければ、頑張ってもっとお金を稼ごうというやる気がわいてこなくても当然でしょう。
職場の部下に「生活を維持したい」という思いだけでなく「もっといい生活がしたい」と思わせるには、まずは手の届きそうな範囲のワンランク上の生活を上手にイメージさせてあげることが必要になります。

MonAmie