「空気」よりも効率を優先するAIが、チームのアシスタントになったら

「空気」よりも効率を優先するAIが、チームのアシスタントになったら

会社にAIがやってきたら、何をさせるべきなのか。

一部の評論家の方々は、人間から仕事を奪う存在だ、として警鐘をならしています。
確かに、AIが普及することによって、多くの分野で仕事のあり方が変わっていくことは間違いないでしょう。しかし、「大量に失業者が出る」とか「人間より優れている」とかいうのは、やはり極端なものの見方だと言わざるを得ないでしょう。
少なくとも当面の間は、AIをどのように使いこなせるかが、ビジネスの明暗を分けることになるでしょう。
ここで問題なのは「AIをAIとして使いこなす方法」です。
例えば今から5年後、新しくAIを雇った(導入した)としたら、もちろんあますところなく実力を発揮してもらいたいですよね。職場の主役は人間の社員たちですから、アシスタントとしてチームの一員に迎えることになるでしょうか。
といっても、お茶くみや買い出しには使えません。
一方で、膨大なデータの処理や分析に関しては非常に優秀です。
その「知識」をもって、社員達のプロジェクトにアドバイスをすることが、AIの業務になるでしょう。

人間を監視するAI?
・AIが画像をモニターして、オフィスで働く人のまぶたの下がり具合をみて、「眠そうかどうか」を判断して起こしてあげる。
ということが可能な今の時代です。このニュースが流れた時は、「いよいよAIに監視されるのか」と話題になりました。(実際はトラック運転手に活用していきたいということのようです。)
「会社で微睡む自由もない」ことの是非はともかく、「眠そうですね。コーヒーを飲みましょう」「立ち上がって運動しましょう」とアドバイスしてくれる時代になったわけです。
「眠らないように」社員に伝えられるAIは、幹部にも「勤務時間外労働はさせないように」と容赦なく伝えることができます。
何せ感情と出世欲がないAIのアドバイスは、非常にシステマチックです。

「社内政治」に興味のないAI
AIには「イヤな上司」も「話しかけづらい先輩」もいません。
「相手に良く思われたい」「失敗したくない」という、人間なら誰しもが持っている考えを一切抜きにして、ひたすら業務を効率化するために周囲の社員にアドバイスすることが出来ます。社員それぞれの能力を数値化することが出来れば、より利益のでる会社にするための体制を整えるために能力的な配分を考えることは得意です。しかし、後々に禍根となりかねない感情的な利害関係を調整することは難しいかもしれませんね。
AIの出した提案に対して、「空気」を取りまとめるのが上手なリーダーによる調整が求められることになります。

「ピンチ」を警告してくれるAI
ビジネスシーンの流行は、常に変わっていきます。
インターネットが流行る前、テレビは絶大な影響力を誇っていました。携帯電話が普及するなんて、発売当初は誰も予想していませんでした。
赤ん坊としてこの世に生まれた以上、人間はそれまでの学習経験から判断せざるを得ません。しかし、その経験のために時代を読み誤って人生や会社の「ピンチ」を招くこともしばしばです。
AIにも学習経験はありますが、「思い出の通りにやれば上手くいく“気がする”」などという推測は発生しません。
「先入観」に目を曇らされて、次世代の到来に気づかないまま経営のピンチが……という事態は、データに基づいたAIのアドバイスを活用して、事前に対策を打つことができるようになります。企業や個人にとって耳の痛い話だったとしても、評論家よりも明確に忠告してくれるのがAIの優秀な点と言えるでしょう。

会社における行動は全て効率主義に基づくか
会社組織は、人間として経済活動に関わる中で自己表現をするための場所でもあります。
集団内の仲間と「協力して」作業することで、安心感や充足感が得られます。
ただただ利益追求型の組織として効率を求めていく経営方針の会社は、全くダメとは言いませんが、働かされる方は「人間味がない」と感じることもあるでしょう。
AIはどこまでも効率を追求することが出来ますが、人間はそうでもありません。
「充実した人生」が「効率的な人生」と完全に一致するような人は、恐らくあまり多くないでしょう。経営者の場合でもサラリーマンの場合でも、昇給やスキル獲得が最終目的なのではなく、それらによって人生が充実するよう願っているはずです。
これからの社会で共存していかなければならない二者には、間違いなく仕事の棲み分けが必要なのです。人間だけでやる仕事は能率が悪く、またAIにできる仕事は単純なものです。
人間として何をするべきで、AIに何をさせるべきなのかを見極める力が、今非常に求められています。
そうして初めて、AIが人間のために活用されている未来がやってくるのではないでしょうか。

MonAmie