「AIなんかに頼るな」IT音痴な上司のあるある発言5つ

「AIなんかに頼るな」IT音痴な上司のあるある発言5つ

「これからの企業は、AIを導入して業務効率化ができなければ取り残される」
毎週のようにどこかのメディアでそんな記事が発表されることに、そろそろ本気で警戒心を抱く人も多いのではないでしょうか。
ハンコとFAXが良くも悪くも現役で活躍する日本社会。
大量のルーチンワークを抱えている社員たちは、「弊社も、もうちょっとスマートな会社になってもらえないだろうか。」と日々頭を抱えています。
「IT化すれば、明らかにスピードアップ可能な業務がある。」
しかし、その事実に、1人の社員が気づいただけでは改善の見込みは薄いでしょう。旧態依然としたAIやシステムの導入にあたって壁になるのが、「ITに疎い上司」の存在です。
予算に関して決裁権を持つにも関わらず、いやだからこそ、新規設備の導入を渋る上司。
困ったオジサンだ、と線引きするだけではいつまで経っても解決しません。
彼らにも、彼らなりの理由があるのです。
今回は、IT音痴あるあるな発言と、その対策法について考えてみましょう。

「今までやってこれたから、ウチには必要ない。」
予算や稟議を通す権限を持っている場所をITに明るくない人間が統括していると、なかなか業務改善は進みません。会社を支える幹部として、これまで出世してきた成功体験があるので、自分という絶対のモデルケースを基準に業務を捉えています。
高度情報社会で企業体として生き抜くため、下の世代に必要なものを供給するためのアンテナが弱っているわけです。
AIなど、IT技術活用の必要性を訴えたい場合、まずは、新規事業などをきっかけにしてみましょう。

「そのシステムって、ホントに大丈夫?」
スマホの時刻を疑っていたら、現代的な生活は不可能です。
しかし、会社のPCに届いたメールからマルウェアに感染したとか、SNSで個人情報が漏れたとかいう話のイメージで、無暗に機械を疑ってしまう人はかなりいます。
確かに、本当の本当の本当に安全なシステムなどありません。
しかし、その発言は「そのシステムがどうやって動いてるのかぜんぜんイメージ出来ない」です。発言者に、テクノロジーやセキュリティに関する知識が全くないことが原因でしょう。
「機械は与えられたプログラム通りに動く。」「人のミスが機械の不具合に繋がる。」など、いくつかの原則を知らないだけの初心者なのです。
誰だって初めての時は不安です。
どうして大丈夫なのか、専門用語抜きで、わかりやすく説明してあげることができれば、理解を得られる可能性が高いと言えます。

「機械なんかに頼るな!」
あまり合理的ではない台詞と言えるでしょう。
『効率化=楽をしている』と捉えている節がある人がいると、ムダなルーチンワークが発生する恐れがあります。
機械を理解するつもりはないのですが「手抜き」「努力しない」というイメージだけは持っているので、「プログラムとか、パパッとやっとけ!」と言い出すこともあります。
しかしこれは、現場のモチベーションを非常に下げますので、褒められたことではないでしょう。自分の考えにこだわっている頑固な人なので、ちょっとやそっとでは考えを変えてくれません。しかし、中国などの極度に電子化されたペーパーレス、キャッシュレス社会の只中にポツンと放り込まれると、あっさり考え方を改めてくれる場合があります。

「やっぱ、よくわからんし。」
自分が勉強不足である、とはっきり言ってくれるのは潔い姿勢です。
しかし、これで「まぁ、とにかく使ってみな」という気骨のあるリーダーだったら、とりあえず効率化できた現場の方は少し余裕がでる……とは限りません。
やはり、現場で使う機器やシステムについて、ある程度知っておいてもらう必要があります。
さもないと、「電気代がもったいないので、自社のサーバーの電源は退社時に絶対落とす」というとんでもないルールが制定されて後々のトラブルを招きます。
よくわからないものについては、取り扱い方法をきちんと勉強した人をリーダーとして、ルール決めをしましょう。

「アナログ最高!」
要するに、彼らは機械を信用していません。怖がっています。
これはもう、どうしようもないことです。
固定電話はまだしも、パソコンやソフトウェアが身近ではなかったのが、特に今の50代、60代の子供時代です。それが、(彼らからしてみれば)最近になっていきなり高機能デバイスと一緒に仕事をしろと言われても、そもそも感覚的に無理な話でしょう。
自動プログラムやAIといった「新しい仕事仲間」に対する、拭い去れない不信感。
それを抱えてながら仕事に励んでいる人は、スマホと青春を過ごしている世代が想像するよりずっと多いのです。
とは言え、何でもかんでもいつまでも変わらないままでは、時代の変化に対応できません。
IT音痴の人に機械を信用してもらう方法は、一秒でも長く機械に触れてもらうことです。
よほどデジタルに抵抗がある人には、まず楽しんでもらうことからスタートしましょう。

まだ間に合う!AIブーム後半の今、IT音痴を克服しよう
いかがだったでしょうか。
筆者としては、現行のAIブームが東京オリンピックまで続いているようなことはないと思っています。
良質なビッグデータが出揃うまでは、質の高いAIが生まれることはないからです。
当分の間は、医師も弁護士も、AIの仕事ぶりが本当に正しいのかどうか確認してあげる仕事が生じるでしょう。AIが晴れて(?)大多数の人から仕事を奪うような未来は、想像しているよりは少し先のことです。
日々の仕事に余裕を持たせることで、その時に備えてスキルアップするための時間を持つことが出来ます。「自分たちには難しそう」「自分には管理できない」というイメージだけで、業務効率化への道を遠ざけてしまうのは、やはり、自分の首を絞める行為です。
こんがらがったルーチンワークをすっきりさせて、AIと一緒に仕事をするためのスキルを磨いておきましょう。

MonAmie(文・イラスト)